darräz [アーティスト紹介]

By 笹谷創(24-May-2017)

何気なく近所のライブハウスに立ち寄った。
ステージを見上げると、取り憑かれたようにドラムを叩く男がいた。
まるで、美しい一枚の絵画を見たように心が吸い寄せられた。決して軽くない跳ねた音がライブハウスに響く。

金色に染まった髪をなびかせ颯爽と音楽に揺られる男もいた。
コンピューターを操り、心の奥底にある感情を音として放出している。哀愁や快楽は空間に溶け込み、聴衆の耳を肥やす。

それぞれが自分の世界に没入しているのに、音楽は重なり一つの作品として完成している。
テクノやエレクロニカを中心としながら、自由に音作りをする彼らのユニット名は「darräz(ダラズ)」。

同ユニットは、ドラムを担当しているエイジさんとコードやメロディを構築しているモリソンさんから成り立つ。
元々、彼らは別々のロックバンドとしてそれぞれに活動をしていた。イベントで知り合い自然と「darräz」の結成へと至った。

最初は、遊びがてらにモリソンさんがテクノ音楽を作っていた。
「どういったドラムパターンがあるのか」をエイジさんに相談していたところ、気がつけば「darräz」の活動が始まっていた。

自然な形で結成された彼らに、見本となるアーティストはいない。機材を揃えるところから始め、ここまで手探り状態で進んできた。「手探り状態が面白いと思えるようになってきた」とエイジさんはいう。

 

「darräz」には他のバンドにはない大きな特徴がある。ライブをする度にゲストを呼んでコラボーレーションをするのだ。

 

ダンサーにギタリスト、トランペット奏者、サックス奏者がゲストとして登場しライブの色を変える。たとえ同じ曲だとしても、常に新鮮さを保ったままリスナーへと届けられる。コラボを重ねることにより曲の地盤も固まってくるのだ。

メンバーが2人というのも曲作りの自由度を高めている。メンバーが多いと、バンド内に縛りが出てくるのは必然である。彼らは経験上、それを知っている。

 

エイジさんがボストンに留学していた経験もあり、「darräz」は海外でのフェス出演をも目論む。
自分たちの在り方について悩んだ時期もあったが、純粋に良い音楽を追求していると「素晴らしかった」というリスナーからの意見が多く挙がった。アーティストなら誰しもが考える「売り出し方」であるが、「darräz」は原点に帰り音楽の精度をひたすら高める。

 

最後に「darräz」にalphanoteのリスナーに声を届けてもらった。モリソンさんは「darräzを好きなように聞いて欲しい」という。「darräz」の音と自由に遊ぶのに、解釈などは必要ないのかもしれない。
また、エイジさんは知らない音楽を共有する素晴らしさについて語ってくれた。「音楽は一方通行ではない」、その言葉は彼らが音楽を追求しているからこそ説得力を持って深く心に刺さる。

「darräz」としての活動期間は決して長いとはいえないが、これまで積み重ねてきた感性が他にはない音楽を創る。彼らは、自分たちが気づかないうちにとんでもなく高い山を登っているようだ。