ジャマイカレゲエとは一味違う洗練されたUKレゲエに迫ってみよう。

by So Sasamoto(2017.07.30)

レゲエと一口にいえども、国が違えばそのスタイルも違ってきます。

ジャマイカで生まれたレゲエはイギリスに持ち込まれ、なくてはならない音楽となっています。
ジャマイカのレゲエと、いわゆるUKレゲエはサウンド面でも明らかな違いがあり、UKレゲエはどこか都会的で洗練されています。
逆をいえば、ジャマイカのレゲエは土着的で猛々しくより動物的に感じられます。
国の雰囲気が反映されているのでしょう。
整頓された音、荒々しくも力を感じる音、レゲエはそれぞれに楽しめます。

レゲエはビートルズなどイギリスのアーティストにも影響を与えました。

実際に、ロックにレゲエ・テイストを取り入れた曲も誕生しています。
それほどの影響を与えたレゲエは、ジャマイカのようにイギリスでもレーベルは存在しています。
イギリスへと文化ごと持ち込まれたレゲエはどんな道を歩んでいたのでしょうか。


まず、イギリスでレゲエを大衆化させたレーベルとして忘れてならないのが、アイランド・レコードです。
オーナーはミリー・スモールの「マイ・ボーイ・ロリポップ」を製作しスカを世に広めたクリス・ブラックウェルです。
ちなみにアイランド・レコードはレゲエだけではなくフォークやロック、ワールドミュージックも発表していました。
アイランド・レコードはボブ・マーリーやピータートッシュがメンバーにいたウェイラーズと契約を果たし、よりイギリスにレゲエを浸透させました。
しかし、そこで初めてレゲエがイギリスに輸入されたわけではありません。


ジャマイカはイギリスに統治されていた関係から多くの移民が移り住んでおり、カリブ海の音楽はウェイラーズとの契約以前からイギリスに馴染んでいました。
レゲエが生まれる前、60年代にジャマイカでスカが大流行するとスカのレコードはイギリスに大量に輸入されました。
ジャマイカの音楽がイギリスの若者たちに徐々に影響を与えていたのです。

イギリス国内では、ジャマイカのレコードを扱う店も増えていました。
レゲエがイギリスに浸透すると、白人たちの中からレゲエバンドを組む若者も現れました。
いわゆる「スキンヘッド・レゲエ」が流行していたのです。

スキンヘッドとはヘアースタイルのことではなく、労働者階級出身であることを誇示し意図的に髪の毛を短く切り上げた、反体制的な思想を持った人々です。
移民のジャマイカ人と労働階級出身の人たちの生活圏が近かったため、スキンヘッズはレゲエを愛聴していたのかもしれません。


スキンヘッド・レゲエの代表的なバンドとしてはsymaripシマリップが知られています。
音楽はアーティストが奏でているものですが、スキンヘッズがレゲエを愛したようにその声や思想に賛同したリスナーもある意味で音楽を作っています。


今となってはイギリスにレゲエがあることは当たり前となりました。
イギリス独自の少し影のあるレゲエはクールで一聴の価値があります。
最後に現在も大活躍中のプロダクションMungo’s Hi Fiと所縁の深いアーティストを紹介しておきましょう。
Mungo’s Hi Fiはイギリスを拠点に活躍し、自らでサウンドシステムを持ちレゲエを基調としベースミュージックでも世界を牽引しています。
今回は、彼らと関係の深い「Soom T」「Solo Banton」「Charlie P」の曲を紹介します。

「Soom T」は両親の関係でインドのパンジャブ、ニューデリーに住んでいた経験があると言い、彼女は17歳からMCとして活動を始めました。
「セルアウトするのではなく、自分に正直であること」を意識しているという彼女の歌はどこか繊細です。
レゲエが持つ圧倒的なパワーだけではなく慈しみをレゲエに昇華させています。


パトワ語で語り手を意味する「Banton」の名をつけた「Solo Banton」は、その野太い声で少しけだるそうにトースティングをします。
シンプルなフロウの繰り返しは、耳に残り中毒性があります。


自由自在なフロウを持ち軽快な声の「Charlie P」は、憎いほど洒脱ですね。
重いベースラインの上を彼の声が踊っています。
ジャマイカのレゲエとはまた一味違った趣を感じられます。


移民により入ってきたジャマイカの音楽はイギリスの音楽に影響を与えながら、レゲエそのものとしても発展を遂げています。国の空気の違いは音楽に現れているところが何とも興味深いですね。ジャマイカの力強いレゲエに圧倒され、イギリスのクールなレゲエで心を落ち着かせる、一口に「レゲエ」といっても様々であります。掘れば掘るほど新しい発見があるレゲエを聴くのはやめられません。レゲエを耳にしていると、音楽が人生を変えるというのは何も大げさではないと思うばかりです。